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今月の特集

インド株式市場動向((株)インド・ビジネス・センター提供)

今月の特集第4弾は、特別に株式会社インド・ビジネス・センター 取締役の須貝氏にインド株式市場の動向について執筆していただきました。インド・ビジネス・センターは、インド・ビジネス専門の経営コンサルタント会社であり、須貝氏は東洋経済新報社の『オール投資』「インドTODAY」などにも執筆されています。

インド株式市場動向

主要30銘柄で構成されるムンバイ証券取引所SENSEX指数は、1月10日に21,206.77の高値を付け、その後大きく下落した。1月22日には、一時取引停止になる混乱ぶりを見せ、その後一旦は反発するも下落基調が続き、3月に入っても徐々に下値を切り下げる展開となった。

3月3日に史上2番目の下げ幅となる前日比900P安を記録し、月初は米国の景気後退懸念が改めて嫌気される展開となった。その後も売上規模で2位の銀行であるICICI銀行がサブプライム関連損失で2億6千万ドルを見込んでいる事を発表、同社株が連日大きく下落した。またチダンバラム財務相が金融機関に対し貸し出し利率を下げるように勧告した一方、インフレ率がさらに加速し政策目標範囲を上回ったことなどを理由に、金融関連株は一時、売りが売りを呼ぶ状態となった。2008年度国家予算案を発表した2月29日から3月7日までの1週間でムンバイ証券取引所の銀行株指数は16.2%の下落を記録、これはセクター別の下落率としてダントツのトップとなった。その後も、米証券大手ベア・スターンズがJPモルガンに買収されるという報道が伝わると、世界の株式市場はさらに混乱、実効為替レートで一段のドル安が進行し、対ドルで急激に円高に触れた東京株式市場が大幅下落、この軟調な流れを受けたアジア各国そしてインド株式市場にも影響を及ぼし、SENSEX指数は15,000を割る展開となった。しかし、その後は「一定の悪材料を織り込んだ」との思惑から徐々に下値を切り上げ、25日には前日比1139.92ポイント高と過去2番目の上げ幅を記録した。海外機関投資家の売買動向は出来高も少なく月間で13.04億ルピーとわずかな売り越しに留まっており、1月のように外国人投資家中心の下落ではなかったことを示唆しているようだ。

国内材料では、インフレ率が3月15日基準日で6.68%と政策目標の5%を上回った。これらを受けてインド政府は一連のインフレ対策を発表。一部の種類以外の米を輸出禁止、豆類の輸出禁止措置を1年間延長、バターおよび精製バターの輸入関税率を40%から30%に引き下げ、トウモロコシ輸入税(税率15%)を撤廃するなど、輸出の抑制と輸入の促進によって対応している。また、インフレ動向のカギを握る鉄鋼やセメント業界など素材セクターに対しては減税を行うことにより、資源高による価格上昇圧力の抑制を試みる可能性もある。

当然ながら今後、準備率の引き上げなど金融引き締めを行う可能性もあるが、市場は既にある程度織り込んでいる。バリュエーションでは、1月の高値でPERが28倍以上あったが、1-3月期決算前でPER19〜20倍程度となっており、いっそうの下値は限られる。政府が引き締めを行い、ある程度インフレ沈静化の見込みが出れば、悪材料を出してきた金融株中心に急激に買い戻される可能性がある。

経済ファンダメンタルズに目を向ければ、すでにインド経済はやや減速しているが、今年度も高い成長には変わりない見通しとなっている。アジア開発銀行が先日発表した2008年版「アジア開発展望」では、インドの2008年度GDP成長は8%と予測、2009年度は8.5%成長と最加速を予想している。

為替では、特に対円で急激なルピー安になっている。考えられる原因としては、対ドルでの円高、日本の投資家の利益確定売りや、円キャリー取引が最終的な巻き戻しに動いたと考えられ、昨年7月には1ルピー=3円を超えていたが、今年に入り3月は2.3円台まで下落する場面もあった。為替では昨年高値と比較して2割超下落しておりルピーに割安感が出ていることも相場動向を考える上で重要といえるだろう。

株式会社インド・ビジネス・センター 須貝信一

須貝信一氏 須貝 信一 氏

株式会社インド・ビジネス・センター 取締役
東洋経済『オール投資』で「インドTODAY」連載中
著書:明石書店『インドを知るための60章』他

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