一目均衡表で「三大骨子」と呼ばれる 3つの重要な理論のうちの一つが値幅観測論で、高値と安値を用いて「均衡点」を算出するものです。
厳密には「均衡点=メド」ではないのですが、近年では上値や下値のメドとして使われることが多くなっています。
4つの算出式
【図1】値幅観測論

値幅観測では、起点となる安値「A」、安値Aの後につけた高値「B」、高値Bの後につけた安値「C(※)」の3つの値段を使い、下記の4つの数式で算出します。
- 安値Cは安値Aよりも高いことが前提、CがAを下回ったときは計算が成り立たない
- 安値Cが切り下がった場合、安値Aより高くても再計算が必要
値幅観測で用いられる算出式
- N 計算値 = C +( B - A )
- V 計算値 = B +( B - C )
- E 計算値 = B +( B - A )
- NT 計算値 = C +( C - A )
「安値A、高値B、安値C」の 3つが定まった時点で計算することができます。
N計算値、V計算値、E計算値のいずれかが均衡点になることが多く(この場合はメドになりやすいと考えてください)、NT計算値は殆ど出ないと言われていますが、計算できるようになった時点ですべての計算を行い、今後どのパターンになってもいいように備えることが重要とされています。
日本製鉄(5401)のチャートを用いて、4つの値幅計算をすると下図 2~5のようになります。
【図2】N計算値(銘柄は日本製鉄(5401))

最も出やすいと言われているのがN計算値です。BとCの差が小さいときはN計算値になりやすいと考えられています。
【図2】V計算値(銘柄は日本製鉄(5401))

N計算値と並んで出やすいと言われているのがV計算値です。BとCの差が大きいときはV計算値になりやすいと考えられています。
【図3】E計算値(銘柄は日本製鉄(5401))

E計算値は頻繁に出るものではありませんが、大相場を形成するときに出やすいと言われています。「二層倍」という別名がつけられています。
【図4】NT計算値(銘柄は日本製鉄(5401))

NT計算値は、N・V・Eのいずれも当てはまらない時に使いますが、殆ど出ることのないレアケースとされています。なお、上のチャートでNT計算値を算出すると2,017.0円になりますが、その株価を既に上回っているため、NT計算値が均衡点になることは否定されています。