1.ETFって何?
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ETFは「Exchange Traded Funds」の略称で、日本語では上場投資信託といいます。株価指数など特定の指標に連動することを目的に運用される投資信託のうち、取引所に上場されているもののことを指します。 |
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例えば、「日経平均が上がると思うので、日経平均を買いたい」と思った人がいたとします。日経平均採用銘柄を全部買うのには莫大な資金が必要になりますが、日経平均連動型のETFを購入すれば、日経平均を購入したのと同じ効果を得ることができます。
ETFは小額から投資できるものがほとんどで、利便性の高い便利な商品です。
2.ETFはどうやって買えるの?
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ETFは取引所に上場していますので、取引時間中であれば株式と同じようにいつでも売買が可能です(ほとんどの銘柄で信用取引もできます)。 |
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非上場の投資信託の価格(基準価額)が一日一回更新なのに対し、ETFの価格は株式などと同様に「買いたい人と売りたい人のバランス」で刻々と変わります。その時の動きを見ながら売買することができるのも魅力の一つです。
3.ETFの仕組み
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株式と同じように売買できることはお分かりいただけたと思いますが、ETFの仕組みはやや複雑です。 |
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一般的な投資信託は、運用会社(委託会社)の募集に応じた多くの投資家が、その投資信託を販売する証券会社などの金融機関で金銭を支払い、受益権を得ます。
ETFも運用会社(委託会社)が募集を行ないますが、この募集は一般の投資家を対象としたものではありません。ETFの場合は、募集に応じるのは運用会社が定める「指定参加者」と呼ばれる証券会社などが中心となります。
例えば、日経平均株価に連動することを目的とするETFでは、指定参加者などが金銭ではなく、日経平均株価に連動するように指定された複数の銘柄をひとまとめにしたもの(現物株バスケット)を拠出して受益権を得ます。これを「設定(応募)」といいます。
指定参加者や機関投資家は、ETFの受益権と引き換えに現物株バスケットをファンド(ETF)から受け取ることもできます。これを「交換」といいます。
上記の受益権を小口化して市場に流通させ、売買できるようにしているというわけです。
4.ETFのリスクは?
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以下のようなものが挙げられます。 |
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(1)価格変動リスク
株式や債券など値動きのある金融商品に投資するため、価格が一定ではありません。投資金額を下回る可能性もあります。
(2)流動性リスク
保有するETFを希望する価格やタイミングで売れないリスクのことです。例えば、リーマン・ショックのような状況で株価が急落し、保有するETFに売りが集中してしまった場合、なかなか買い手がつかずに思い通りの価格で売却できないという状況が発生する可能性があります。
(3)信用リスク
株や債券の発行体が、出資者に対する利息や配当などの支払いを約束どおり行わないリスクのことです。例えば株式投資の場合、株式を発行する企業が倒産してしまうと、その株式の価値はほぼゼロになってしまいます。
一方、ETFは複数の金融資産を投資対象にしているため、信用リスクは総じて低いといわれています。仮にETFが「上場廃止」になった場合、上場廃止後に一定の買取期間を経て、ETFは償還されます。万一、運用会社が破綻した場合でも、投資家から集めた資金(信託財産)は法律に基づき、運用会社ではなく信託銀行で分別管理されているため「資産ゼロ」にはなりません。
(4)価格乖離リスク
対象指数との連動を図るために、基本的には指数の構成銘柄と同様の金融商品を保有します。そのため、本来は対象指数の動きに近い動きをしますが、市場が急変して売買が集中した場合は「対象指数の動きと連動しない」ことがあります。
5.ETFにはどんなタイプの商品があるの?
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タイプ別に分類すると以下のように分類されます。 |
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(1)国内株価指数連動型(市場別)
TOPIXや日経平均株価など国内の主要株価指数に連動するタイプで、ETFの中では最も一般的なものです。国内新興市場指数に連動するETF、TOPIXを規模別に分類(TOPIX Core30、TOPIX Smallなど)した指数に連動するETFなどもこのタイプに分類されます。
(2)業種別
銀行や電機などの業種別にまで投資対象を絞り込んだタイプのETFです。これらのタイプは更に2つに分類されます。1つが東証が算出する株価指数に連動するタイプで、東証電気機器株価指数連動型と東証銀行業株価指数連動型が上場しています。もう1つが「証券コード協議会」が定める33業種を17業種に集約したタイプで、「鉄鋼・非鉄」や「情報通信・サービス・その他」などが上場しています。
(3)テーマ別
独自の投資テーマを掲げるタイプのETFです。次世代自動車や代替エネルギーなど国内のエコ(環境)関連銘柄を投資対象とするもの、資本関係から見てグループに属すると認識される企業を対象とするもの、REIT指数に連動するものなどがこのタイプに分類されます。
(4)外国株指数・外国債券指数連動型
アメリカのNYダウやブラジルのボベスパ指数などの外国株指数や、世界の国債インデックスなどの外国債券指数に連動するタイプのETFです。(1)国内株価指数連動型の外国版といった感じです。外国指数に連動するものの、株式同様にリアルタイムで売買することができます。一つの指数に連動するものだけだはなく、日本を除く先進国22カ国の株式市場をカバーする指数に連動するもの、新興国22カ国の株式市場をカバーする指数に連動するものなどもあります。
(5)商品(コモディティ)連動型
金価格や原油価格に連動するタイプのETFです。金やプラチナなどの貴金属、原油や天然ガスなどのエネルギー関連だけでなく、小麦やトウモロコシといった農産物の商品価格に連動するものなどもあります。
(※)商品連動型ETFの一部(投資信託法第220条「外国投資法人の発行する投資法人に類する証券」に該当するもの)はマルサントレードで取り扱っておりません。
6.ETFについてのよくある質問
(1)ETFの税金はどうなっていますか?
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国内株価指数連動型などの国内ETFの税制は、基本的には上場株式などと同じで、分配金や売却益などを得たときに課税されます。分配金は、配当所得として原則は税率20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の源泉徴収になります。売却益は、譲渡所得としてほかの所得と区分して税額を計算する申告分離課税(所得税15.315%・住民税5%)となります。ただし、特定口座(源泉徴収あり)であれば、証券会社を通じて納税が完了しているため、基本的に確定申告は不要です(一部証券会社、外国籍のETFを除く)。また、商品連動型ETFの一部(投資信託法第220条「外国投資法人の発行する投資法人に類する証券」に該当するもの)は、他のETFとは税金の取扱等が異なります。 |
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(2)信用取引はできますか?
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信用買い・信用売りともに可能です。また、上場株式と同じように逆日歩が発生することもあります。 |
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(3)分配金はありますか?
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保有口数に応じて「分配金」が支払われます。分配金は、株式における配当のようなもので必ずしも支払われるものではありません。また、銘柄によって年間の決算回数が異なるため、分配金の支払い回数も異なります。なお、貴金属などの商品連動型ETFは、連動対象が配当・利子収入を生まないことから、分配金の支払いがありません。 |
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(4)運用会社が破綻したらどうなりますか?
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ETFに携わる主な機関は、投資家とお金のやりとりを行う「販売会社」、運用の指図を行う「運用会社」、信託財産を管理する「信託銀行」になります。いずれの機関が破綻しても、投資家が預けたお金は保全される仕組みになっています。万一、信託銀行が破綻した場合でも、信託財産は自己の固有資産と明確に分別管理することが法律で義務付けられているため、その債権者は信託財産を差し押さえることはできません。なお、各機関が破綻した場合には、別の会社がその業務を引き継ぐか、そのETFが繰上償還されることになります。 |
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(5)ETFはどのような上場基準、上場廃止基準がありますか?
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ETFの上場基準では、対象となる指標に連動することが求められています。具体的には、信託財産に関して、対象となる指標と純資産額との相関係数が0.9以上となることを求めています。ETFが上場基準を満たせなくなった場合、上場廃止となる恐れがある監理銘柄、もしくは上場廃止が決定された整理銘柄に指定されることがあります。なお、平成19年11月1日付けの規則改正で、ETFの上場廃止基準における受益権口数、受益者数および売買高の基準が廃止されました。従って、現行の上場制度では、ETFの流動性の不足によって上場廃止になることはありません。 |
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(6)指値注文、成行注文、呼値(注文値段)の刻みなどの売買ルールはどうなりますか?
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上場株式と異なる特別なルールはありません。以下に売買ルールを具体的にまとめてみました。 |
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- 【注文方法】
- 通常の株式と同様に、指値注文・成行注文ともに可能です。
- 【呼値の刻み】
- 上場している取引所の呼値が適用されます。
- 【売買単位】
- 商品ごとに異なります。ETFの価格(株価)が1,000円、売買単位が100口(株)の銘柄であれば、1,000円×100口=100,000円(手数料等は別)から売買することができます。
- 【注文の方法】
- 通常の株式注文と同じです。
- 【決済日】
- 決済(受渡)は株式と同じ3日目決済です。